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2010年5月11日 (火曜日)

Ijamp「条例探訪」より。

Ijamp(時事通信社)の「官庁速報」の中で、毎週「条例探訪」を連載しています。今回は、そこで執筆した原稿を転載します。

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◇地方自治体の目的は何か? 

もし読者が「地方自治体の目的は何ですか」と尋ねられたら、どのように答えるだろうか。この回答は一つではなく様々あると思われる。その多様な回答の中で、読者が自治体職員ならば、まずは地方自治法を頭に浮かべてほしい。なぜならば、実は地方自治法に回答が明記されているからである。

地方自治法の第1条の2には、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として・・・」とある。このことから、地方自治体の目的は「住民の福祉の増進を図ること」と考えることができる。なお、ここでいう福祉とは、「生活上なんらかの支援や介助を必要とする人に対し、生活の質を維持し向上させるための行政サービス」という狭義の意味ではない。むしろ広義に捉えたほうが妥当であり、端的に「幸福感」と換言することができるだろう。 

今一度、確認しておきたいことは、地方自治体は「住民の福祉の増進」を実現していく役割に、しつかりと軸足をおく必要がある。そして自治体職員一人ひとりの胸中に刻む理念や原点も、「住民の福祉の増進」がなくてはいけないだろう。 

◇条例の中に登場する「住民の福祉の増進」

今日、少なくない条例は、その条文中に「住民の福祉の増進」というニュアンスが記されている場合がある。もちろんダイレクトに「住民の福祉の増進」という言葉が使われることもある。

例えば、太宰府市(福岡県)の「太宰府市環境基本条例」は「この条例は、環境に関する基本的施策を定め、これを総合的に推進することにより、現在及び将来の市民生活における良好な環境の保全及び創造を図り、もって市民福祉の増進に寄与することを目的とする」(第1条)とあり、「市民福祉の増進」という言葉が見られる。

また、上島町(愛媛県)の「上島町有自家用自動車条例」では、「この条例は、住民等の輸送を円滑に行い、もって住民の福祉の増進に資するため、上島町有自家用自動車を運行し、その管理を行うことを目的とする」(第1条)とある。ここでは明確に「住民の福祉の増進に資するため」と記されている。

一方で視点を変えて、福祉の増進に寄与した者を表彰する条例もある。佐伯市(大分県)の「佐伯市名誉市民条例」は第1条が目的規定であり、「政治、経済、産業、文化、社会その他各般にわたって公共の福祉増進に功績があった者に対しその功績をたたえ、もって市民敬愛の対象として顕彰する」とある。このように佐伯市条例は、福祉の増進に功績のあった者を顕彰することが趣旨となっている。

◇他の行政主体の目的は何か 

本日の連載において、地方自治体(自治体職員)の目的は「住民の福祉の増進」にあるということが理解いただけたと思う。それでは、他の行政主体である消防(職員)や警察(職員)は何が目的なのだろうか。ここで消防や警察と比較することで、地方自治体との違いが明らかになる。

消防(職員)の目的は、消防法第1条に明記されており、「・・・火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、(中略)もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資すること」とある。一方で警察(職員)は、警察法から目的を垣間見ることができる。

警察法第1条に「個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため・・・」とあり、「公共の安全と秩序を維持する」ことが、警察の一つの大きな役割と理解できる。このように他の行政主体と比較すると、地方自治体(自治体職員)の役割や目的が、よりクリアに理解できる。

以上で、今回は終わることにする。ここで一つ読者に質問である。それは「自治体職員の福祉が達成しない状態で、住民の福祉の増進は実現されるか?」である。次回は、この点について検討したい。

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