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2010年12月10日 (金曜日)

冬は必ず春にならない?

実は、今日で、官庁速報に「条例探訪」が終わりです。2年近くの連載でした。読者をはじめ、関係者の皆さま、大変にお世話になりまして、誠にありがとうございました。

今日の最後の原稿を下に、そのまま記したいと思います。

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いきなりだが、今回で条例探訪は終了である。今までありがとうございました。条例探訪を終えるにあたり、日ごろ私が考えている政策開発の3つの視点を紹介しておきたい。この3視点は、読者への問題提起でもある。

◇「冷徹な頭脳と温かな心」をもった政策づくり

第1に、経済学者のアルフレッド・マーシャルが残した「cool brain & warm heart」(冷徹な頭脳と温かな心)という格言を紹介したい。政策開発には、この言葉がとても参考となる。

住民の福祉を増進させていくためには、問題を発見し、問題を解決するために、冷徹な頭脳を駆使して様々な角度から事象を解剖していかなくてはいけない。しかし、この冷徹な頭脳だけによって構築された政策は、血の通った温かい政策ではない。わざわざ人間がつくる必要はなく、パソコンに任せてしまえばよい。

そこで政策開発は冷徹な頭脳で客観的に判断しつつ、「○○地域を絶対によくしていくんだ!」(「○○」は読者の関係している地域がはいる)という血の通った「温かな心」を持たなくてはいけない。政策開発を進める際に、重要なのは「冷徹な頭脳」と「温かな心」のバランスである。

◇政策には必ず被害を受ける人がいる

第2に、何かしら政策を開発し実行していくと、その政策の「恩恵を受ける人」がいれば(外部経済)、「被害を受ける人」もでてくる(外部不経済)という事実が必ずあるということ知ってほしい。これは当たり前のことであるが、この現実を理解していない(あるいは外部不経済には目をつむる)場合が少なくない。

政策開発は、その政策による外部不経済の存在も想定し、その外部不経済を可能な限り小さくするための対処法も検討する必要がある。この想定される外部不経済も対処する政策を開発することが理想である。つまり、一つの問題を解決するために、様々な政策を開発して多方面から取組んでいくことが大切である。

◇成果も大切だが過程にこそ意義がある

第3に、政策を開発していく行動は「成果」ではなく「過程」にも重きをおくということである。ドイツの詩人であるゲーテは、「旅をするのは到着するためではなく、旅をするためである」という言葉を残している。

この格言が意味していることは、人生(旅をするのは)は死ぬ日(到着するため)が目的ではなく、生きていく日々に価値がある(旅をするためである)、ということだと思っている。このことは政策開発においても当てはまる。

実は政策を開発し実現していくためには、様々な関係者の合意形成をはかる必要がある。この過程は、極めて泥臭いものである。一つずつ関係者の合意をつむぎあわせていく過程は面倒なものである。しかしながら、その一つひとつの合意を丁寧に形成していくと、結果として、誰もが納得し、持続性のある彩りあざやかな政策が実現されていく。

◇そして、希望・・・

条例探訪は、今回で69回目を向かえた。読者の記憶に残っていると思われるが、チリ落盤事故は、69日目にして全員が救出された。そこでの合言葉は「エスペランサ」(希望)であった。救出する側も救出される側も全員が「希望」を抱いていたからこそ、チリ落盤事故は成功したのだと思われる。

今日、地方自治体が(自治体職員や議会議員)がおかれている状況は厳しいものがある。今後、ますます厳しさは増していくかもしれないが、常に「希望」を持っていただきたい。

しばしば厳しい状況を勇気づける格言として、「冬は必ず春になる」や「朝の来ない夜はない」がある。確かに自然の摂理として、冬のあとは春になるし、夜が過ぎると朝になる。しかし、よく考えてほしい。春や朝を迎える前に死んでしまう人もいるのではないか。春や朝を迎えられる人とそうでない人の違いは何だろうか。

私は、その人が「希望」を持っているかいないかにかかっていると思っている。希望を抱いている人は、必ず春が訪れることを信じて、夜明けとともに眩しい太陽があがることを確信して、どんなに厳しい状況においても、生き抜いていけるのだろう。地方自治体を取り巻く状況は、日々、厳しくなっている。そのような時だからこそ、「希望」という言葉を贈りたい。

そして何よりも、きっと希望を多く持った自治体職員や議員が存在する地方自治体が住民の福祉の増進も実現していくのだと信じている。

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コメント

杉さま
お久しぶりでした。お元気でしたか。

>それとTwitterのようなものを始めると、

いまいち、私はITオンチなので、よくわからないのですよね・・・。次年度には、ちょっとITオンチを改善したいと思っています。

いくつかコメントもいただいているので、お返事しないと・・・。

投稿: M研究員 | 2010年12月21日 (火曜日) 03時53分

「条例探訪」は、法学部の行政法の学者が書いているものだと思っていました。行政学の研究者が書いているとは思っていませんでした。
それとTwitterのようなものを始めると、短絡的にインプットの向上がはかれるかも知れません。

投稿: 杉さま | 2010年12月11日 (土曜日) 13時29分

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