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2012年2月 6日 (月曜日)

自殺防止条例②

今回も自殺防止条例について、概略的に言及する。

●日野市自殺総合対策推進条例

平塚市条例のあと、次いで「日野市自殺総合対策推進条例」が制定された。日野市条例は、「日野市が自殺対策に関して、市民個人と、その家族を含めた周囲の人々の心情や立場に配慮しつつ、自殺対策を総合的に推進し、もって市民一人ひとりがかけがえのない「生命いのち」の大切さを考え、ともに支え合う地域社会を実現することに寄与すること」(第1条)を目的としている。

日野市条例は全20条から成立している。それは大きく総則(第1条―第8条)、基本的施策(第9条―第17条)、推進体制(第18条、第19条)、雑則(第20条)から構成されている。いくつか特徴的な規定を紹介すると、まずは「自殺総合対策基本計画の策定」(第9条)があげられる。日野市は、同条例の目的を達成するため、自殺総合対策基本計画を定め、基本的施策を実施しなければならないとしている。

なお、自殺防止条例は制定していないが、行政計画として「群馬県自殺総合対策行動計画」や「滋賀県自殺対策基本方針」など都道府県レベルでは行政計画として対応しようとする動きはある。

また「調査研究の推進等」(第10条)も重要である。そこには「市は、自殺対策に関して調査研究を推進し、並びに情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする」とあり、自殺を科学的な観点から考察しようとしている。さらに「自殺総合対策推進委員会の設置」(第18条)や「自殺対策推進コーディネーターの設置」(第19条)を設けることにより、自殺防止を後方支援する体制も構築しつつある。まさに条例の名称のごとく自殺防止の「総合対策推進」をしていると捉えられる。

●新発田市民のきずなを深め『いのち』を守る条例

全国で3番目として「新発田市民のきずなを深め『いのち』を守る条例」が制定された。条例名に特徴があり、市民一人ひとりが「いのち」の大切さを認め合い、共に支え合いながら自殺の防止に向けた対策を行うという意気込みがある。

新発田市条例は「新発田市の自殺対策を組合的に推進し、自殺の防止を図り、もって市民が共に支え合う地域社会の実現に寄与すること」(第1条)が目的となっている。同条例は全10条から成立している。第6条に「名誉及び生活の平穏への配慮」という規定を設け、「自殺対策の実施に当たっては、自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない」と記している。

また第8条が「基本的施策」であり、①自殺対策に関する調査研究の推進、②自殺対策に関する市民の理解の増進、③自殺対策に関する人材の確保等、をはじめ8項目を推進すると明記している。同条例は、自殺は、個人の問題のみではなく、その背景に様々な社会的要因があることを踏まえ、地域社会全体で取組を進めることが重要性を説いており、具体的かつ効果的な自殺対策を実施するために、新発田市は、条例の制定後、市民各層からの代表者、関係団体・機関などから構成される自殺対策会議(第9条)で協議を進めるとしている。

●自殺防止条例の意義 

条例の一つの意義として考えられることは、地方自治体(議会を含む)の意思表示がある。この平塚市条例や日野市条例、新発田市条例の存在は、「市として自殺の存在を許さない」という強烈なメッセージとなる。また、これらの自殺防止条例を成立させ運用していくことにより、自殺に対する住民の意識を変えていくことが可能となる。

平塚市や日野市、新発田市のように自殺予防や自殺防止を総合的に捉えた条例ではないが、基金条例と特化した場合は少なくない。例えば「高知県地域自殺対策緊急強化基金条例」や「大阪府自殺対策緊急強化基金条例」など、ほとんどの都道府県で存在している。高知県条例は「現下の厳しい経済情勢を踏まえ、地域における自殺対策の緊急強化を図るため」(第1条)に高知県地域自殺対策緊急強化基金を設置したと明記している。

このような基金条例の必要性も理解できるものの(ないよりはあったほうがいい)、個人的な見解としては、平塚市や日野市、新発田市のような自殺防止条例が、もっと多く登場してくるとよいと思う。

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