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2012年2月 1日 (水曜日)

行政評価を考える②

私は大学で非常勤講師をしており、例年、成績評価をつけている。この評価には相対評価と絶対評価がある。相対評価とは、「学生の成績を評価するにあたり、他の学生の成績を考慮にして、他の学生との比較の上で学生の成績を評価する」ことである。一方で絶対評価とは、「学生の成績を評価するにあたり、他の学生の成績を考慮に入れず、学生本人の成績そのもので評価する」ことである。

相対評価の場合は、ある意味、誰かが褒められれば誰かが怒られるという「ゼロ・サムゲーム」である。一方で、絶対評価はすべての学生が褒められるという「WIN-WIN」の関係となる。

私は褒められて伸びる子だったため、誰かと誰かを比較して評価するという相対評価には馴染めない。そこで、原則的には相対評価を尊重しつつ、結果的には絶対評価になってしまう傾向がある。そのため、受講生が年毎に増加し、今では大変なことになっている。

行政評価も相対評価と絶対評価という観点があると思われる。どちらの評価も一長一短はあるが、漠然と私は絶対評価のほうがいいと思っている。

●行政評価条例の意義

行政評価条例の一つの意義は、地方自治体が行政評価を実施する上で条例として位置づけることにより、法的根拠を持たせる点にある。2001年に宮城県が全国で初めて行政評価条例として「行政活動の評価に関する条例」を制定したと言われている。その後、多くの地方自治体において行政評価条例が制定されてきた。

宮城県条例には、「この条例は、県が県民の参加を得てその行政活動について自ら評価を行うことが自治の一層の発展を図る上で極めて重要であることにかんがみ、県が行う行政活動の評価に関し必要な事項を定めることにより、県民の視点に立って成果を重視する県政を推進することを目的とする」(第1条)と明記されている。

行政評価を条例として位置づける場合がある一方で、要綱に規定する事例もある。条例は、議会での議決が必要であるため、それだけ意味合いが重たい。そして何よりも条例化により継続性も担保される。持続的に行政評価が実施されることを意味する。一方で要綱は議決が必要なく、弾力的かつ柔軟な取組みが可能という特徴もある。

●行政評価規則という観点

行政評価を規則で行政評価を位置づける場合もある。東京とは「東京都行政評価規則」としている。同規則には「この規則は、行政評価を実施するための必要な事項を定めることにより、都民の視点に立った成果重視の都政運営に資するとともに、都政に関し都民に説明する責務を全うすることを目的とする」(第1条)と記されている。行政評価を規則で定めているのは、鹿角市や羽生市など意外に少ない(多くの場合は、条例か要綱である)。

規則とは、地方自治体の長が、地方自治法の規定に基づき、国の法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務について制定する法規を指す。この観点に立てば、行政評価は条例化せず、規則化により法的根拠を担保することも可能である。 

では、どのような時に規則ではなく条例として定める必要があるのだろうか。一つの視点として「住民の係りを入れる」場合は条例化が必要と考えられる(余談であるが、法律用語で「関わる」と「係わる」は違う。「関わる」は間接的にかかわることを意味しており、直接的かかわる場合は「係」を使うと解されている)。

●住民が入った「志木市行政評価条例」

志木市行政評価条例は「この条例は、行政評価に関する基本的な事項を定めることにより、市民が行う行政評価の結果を市政に適切に反映させ、市民の視点に立った効果的かつ効率的な市政を推進し、もって市民に対する説明責任を遂行することを目的とする」(第1条)とある。ここに「市民が行う行政評価」と明記されている。この観点を入れることにより、条例化する必然性が登場する。

志木市条例の第15条には「市長の諮問に応じ、市民の視点に立って評価の客観的かつ厳格な推進及び評価制度の充実を図るため、志木市行政評価委員会を置く」と規定している。同委員会は、①基礎資料に対する評価に関することと、②評価制度の充実を図るための調査及び研究に関すること、が所掌事務となっている。また、同委員会は、評価制度について市長に意見を述べることもできる(第16条)。

このように住民の係りを入れる場合は、条例化が望ましい。しかし、既存の多くの行政評価条例は住民の係りがないため(地方自治体だけで完結しているため)、わざわざ条例化する必要はないのではなかろうか。なお、宮城県や水戸市、瑞穂町などは「行政評価委員会条例」を制定している。宮城県行政評価委員会条例は「知事の諮問に応じ、県がその行政活動について自ら行う評価に関し調査審議するため、宮城県行政評価委員会を置く」(第1条)と規定されている。

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