« 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。 | トップページ | 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。 »

2012年4月10日 (火曜日)

「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。

●「高齢者」を対象とした条例の経緯 

地方自治体における高齢者条例の現状を概観する。地方自治体は国に先駆けて、様々な高齢者条例を制定してきた。地方自治体における高齢者条例の制定は、大きく4類型することが可能である。それは「法律委任型」「法律発展型」「新規独自型」「施設設置型」である。以下で、それぞれについて説明していく。

第1に、法律により委任された条例がある。この形態を「法律委任型」とする。例えば、下郷町(福島県)の「下郷町後期高齢者医療に関する条例」がある。下郷町条例は、「高齢者の医療の確保に関する法律」の委任条例という位置づけである。また、神奈川県の「神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例」は、第4章が「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づく委任規定となっている。なお、神奈川県条例は、必ずしも高齢者だけを対象としたわけではなく、障害者や妊産婦などの交通弱者を対象とした条例である。

第2に、既に法律が制定されており、その法律を参考にして高齢者条例を制定する場合がある。これは「法律発展型」と指摘することができる。この場合は、既に法律により全国的に実施されている高齢者を対象とした行政サービスに対し、改めて独自に条例化することを意味している。例えば、国には「交通安全対策基本法」があるが、岸和田市(大阪府)は「岸和田市高齢者交通安全条例」を制定している。岸和田市条例は、同法の枠にとどまることなく、独自に高齢者を対象とした交通安全行政を展開するため、法律に加え改めて岸和田市条例を制定したと推察される。

この「法律発展型」は、法律で定められた全国均一で画一的な高齢者を対象とした行政サービスを、地方自治体が地域性や実状を反映させ、独自の観点から高齢者条例を制定することを意味している。そうすることにより、既存の法律を補完・強化しているとも指摘できる。さらに言えば、「法律発展型」の中には、法律の上乗せや横出しを意図した場合もある。

第3に、国の法律の中に規定が見当たらないため、新しく独自に高齢者条例として制定させる場合がある。このことは「新規独自型」と類型することができる。この「新規独自型」は、その地方自治体で生活する高齢者を対象に、他自治体に見られない独自の行政サービスを提供することを意味している。この類型で最も分かりやすいのが高齢者を対象とした様々な基金条例である。

新宿区(東京都)は「新宿区高齢者福祉活動基金条例」がある。新宿区条例は、地域高齢者に対する福祉活動への助成やその他高齢者福祉施策の推進に資するための基金を意図している。同様な条例は、男鹿市(秋田県)の「男鹿市高齢者福祉対策基金条例」や港区(東京都)の「港区高齢者安心定住基金条例」などと枚挙に暇がない。

また、地方自治体が高齢者に支給するお祝い金や見舞金も「新規独自型」と言及できる。例えば、日南市(宮崎県)の「日南市長寿祝金条例」や日野市(東京都)の「日野市高齢者入院見舞金の支給に関する条例」などが該当する。

第4として、高齢者が中心に使用・利用する公共施設の設置条例がある。これは「施設設置型」と称することができる。公共施設や公の事務所を設置する場合は、必ず条例として位置づけなくてはいけない。例えば、中野区(東京都)の「中野区立高齢者デイサービス施設条例」や唐津市(佐賀県)「唐津市高齢者ゲートボール場条例」などが該当する。

高齢者条例の制定事由を類型化すると、大きく4つにわけることができる。それは「法律委任型」「法律発展型」「新規独自型」「施設設置型」である。本稿では(便宜的に)4類型しているが、実は4類型はそれぞれに関連している。その意味では厳密にわけることは難しい。そこで、この4類型は問題提起という意味があることを付言しておく。

|

« 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。 | トップページ | 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。:

« 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。 | トップページ | 「高齢者」を対象とした条例の背景と傾向。 »