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2013年6月 7日 (金曜日)

B級グルメブームを考えてみた。

地方都市の居酒屋で、友人とB級グルメの話になった。彼は次のようなことを言っていた。

「郷土の食をわざわざ「B級」に貶めることはないのに・・・」
「昔からの地域の食に「やきそば」が入ってきたよ。これって文化の侵略だよね・・・」
「結局、全国画一的なB級グルメになってしまうんだよなぁ・・・」  

今日、全国各地で展開されているB級グルメの行く末を考えるときに、友人の発言は多くの示唆を与える。いまB級グルメの躍動しつつある。しかし、否定的な観点からB級グルメを考察することも必要ではないだろうか。

●B級グルメブームの今
「B級」の意味について確認したい。B級とは「第2位の等級。二流」という意味がある。二流とは「一流より程度がやや劣ること」と定義できる。今日、B級グルメが流行っている。しかし、ここで紹介した「B級」の意味ではない。B級グルメとは「和食なら懐石料理、洋食ならフランス料理のフルコース、中華なら宮廷料理などをA級グルメとした場合、それらよりも価格がはるかに安いが美味しい料理のこと」と捉えられる。決して味がB級(いまいち)という意味ではない。  

筆者は様々な自治体職員と意見交換をしている。その中で、必ず話題になるのが「B級グルメ」である。筆者は、この現象を冷ややかに捉えており、現在の状況を「B級グルメ症候群」と称している。昨今は、どこに行っても、何でもかんでも、「B級グルメ」という様子である。  

このB級グルメは、いつから注目を集めてきたのだろうか。新聞報道から経緯を探ってみる。過去の新聞報道を観察すると、1990年代前半から「B級グルメ」という語句が登場しつつあることがわかる。そして、右肩上がりで上昇してきた。特に2006年に注目を集め、2008年に急拡大している。この理由は、2006年に地域団体商標制度が新設されたことが考えられる。同制度により、地域名と商品名からなる商標がより早い段階で商標登録を受けられるようになった。  

また、同年から開催されている「B-1グランプリ」の影響も大きいだろう。B-1グランプリとは、全国のB級グルメを集め投票により順位を決定するイベントである。同グランプリを運営している「一般社団法人B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」は、B-1グランプリの取組みは、地域活性化を目的とする町おこしのためのイベントとして位置づけている(B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会会則第2条)。2011年は、姫路市で開催された。63団体が参加し、来場者数は約51万5千人となっている。今、B級グルメは大きな盛り上がりをみせつつある。

●B級グルメブームとは  
B級グルメはブームにあると言える。そして、昨今ではB級グルメの持つ経済効果が大きく報道されている。その背景は、B-1グランプリが地域活性化を一つの目的としているからである。例えば、久留米大会は約30億であり、厚木大会は約36億円、そして姫路大会は約40億7千万円の経済効果があったと報道されている。経済効果も右肩上がりで拡大しつつある。  

一方で、B級グルメの経済効果を観察すると、黒石商工会議所は「黒石やきそば」の2008年の経済効果は10億1,500万円と試算している。また「津山ホルモンうどん」は、岡山県全体で約8億円とする推計結果を発表している(財団法人岡山経済研究所調べ)。さらに「厚木シロコロ・ホルモン」による厚木市内への経済効果は、3ケ月間で約30億円に上るとはじいている(厚木シロコロ・ホルモン探検隊調べ)。  

このように「いい数字」が並ぶため、自治体の中には税収効果に期待する声も少なくない。しかしながら、筆者が調査した所によると、上記した自治体の税収は必ずしも拡大していない。むしろ、現状維持か微減傾向にある。もちろん「だからB級グルメは意味がない」と短絡的に結論付ける気はない。ここで強調したいのは、税収の拡大を期待したB級グルメは、残念な成果しか導出しないということだ(期待が大きいだけに残念の度合いも深くなってしまう)。  

税収効果が伴わない理由を自治体の担当者に聞くと、「B-1グランプリをしたからこそ、この程度の減収でおさまった」や「B級グルメがあるため、大幅に減少することなく踏ん張っている」という回答が多い。確かに、そういう側面があることは否定しない。しかし、税収拡大はB級グルメだけではなく様々な手段があることを知らなくてはいけないし、同時にB級グルメに対する過度の期待は危険であると考える(つづく)。

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