自治体シンクタンクの意義を以前考えてみた。
自治体シンクタンクの意義を、かなり前に考えてみた。
それは、第1に、自治体政策に対して、社会実験的なことが行える、または提言できる点である。なぜならば、自治体シンクタンクは政策研究機関であるため、実施機関が提案するのと異なり、比較的、組織として冒険がしやすいからである。
もちろん、「提言をするだけならば、民間のシンクタンクに任せればよい」との意見があるだろう。しかしながら、外部であると自治体内にある「微妙な感覚(関係)」を把握することが困難であることが多く、その結果、政策の反映性(実現性)を伴わないアウトプットに終始してしまうことが往々にある。
この自治体内の微妙な感覚を把握する点が、自治体シンクタンクの持つ特長である。さらに指摘すれば、自治体シンクタンクの役割は提言だけに終わるべきではなく、その提言を実現していくことにある。
第2に、試行錯誤的に自治体政策のレベルアップができる点である。そのことにより、自治体シンクタンクのない自治体より、政策の進化・深化が進む点がある。自治体の政策形成能力を高めるためには、基礎(学術)と応用(実践)を融合する研究が必要であり、そこに民間シンクタンクにはない自治体シンクタンクの存在意義がある。
第3に、自治体の内部で「ゆらぎ効果」というものが発揮される点である。これは複雑系の分野では、「創造的カオス」とも呼ばれている。この創造的カオスとは、組織に意図的に危機感や異物を導入したりすることにより、組織に緊張をもたらし、組織の構成員の注意を問題解決に集中させるという内容である。
つまり、自治体内における自治体シンクタンクの存在が、その組織に緊張感をもたらし、あるいは多様な視点を導入させることにつながり、その結果として、新たな見方、考え方、進め方を提示する役割を担うということである。
以上の3点は自治体の視点から捉えた意義であるが、市民の観点で考えるのならば、純粋に自治体シンクタンクの存在に対して、「かっこいい」や「先進的である」との印象を持ちやすいようである。つまり、「うちの市はすごいのではないか」という好印象を与える傾向もみられる。その結果、当該自治体の「ファン」を増やすことにつながる。
ここで記した以外にも、自治体シンクタンクの存在は、様々なメリットをもたらすと予測される。 何れにせよ、自治体シンクタンクは自治体政策を進めるために必要な政策形成能力の向上を促すことになり、その結果、自治体シンクタンクは団体自治を確立させる有効な一手段になると思われる。
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